概論
頭痛は日常的にありふれた症状であるが、その原因は多彩で、およそ外傷性、炎症性、腫瘍性、血管性、代謝性、情動性、その他に分けられる。それらの原因によって特異的に奏効する薬剤はかなり異なり、原因失患によっては重篤なものもあるので軽視できない。
病歴からのアクセス
原因の鑑別のために
@発症経過:急性か亜急性か慢性か。
A頭痛の程度:部位。
B性質:拍動性か否か、持続時間。
C誘因。
D慢性の場合:初発年齢、反復性か否か。
E家族歴、既往歴。
(a)慢性頭痛で、青年期までに発症し、反復性で、家族歴を有する場合は偏頭痛を考える
。
(b)慢性頭痛で、老年期に発症し持続性である場合は、いわゆる動脈硬化性頭痛を考える。
主要症候からのアクセス
随伴症状の把握
@一般神経所見:反射、脱力、左右差.
A意識障害、睡眠障害。
B目、耳、鼻、歯牙、口腔内も異常所見。
C髄膜刺激症状。
D血圧、脈拍数、拍動。
E発熱、夜間発汗。
F視野狭窄、視力低下、複視。
(a)一過性視覚障害や一側性の感覚、運動障害を生じ、頭痛消失後もしばらく持続する場合は偏頭痛が多い:古典的偏頭痛、片麻痺型あるいは眼筋麻痺型偏頭痛。
(b)副鼻孔や鼻孔疾患を伴う頭痛は多いものであり、上気道感染症の場合がほとんどである。
(c)髄膜刺激症状を呈する場合は、くも膜下出血か髄膜炎を疑う。
(d)女性で、生理周期に関連して反復する場合は、偏頭痛、頭蓋内動静脈奇型あるいは動脈瘤も疑う必要がある。
(e)前頭部に初発する場合は、歯牙、副鼻孔、眼などの疾患を疑う。
(f)頭痛が次第に増強する場合、頭蓋内圧増大性疾患、すなわち腫瘍、動脈瘤硬膜下血腫を疑う。
(g)老年者で、発熱を伴って側頭動脈領域に圧痛を伴う激しい頭痛を訴える場合には側頭動脈炎を疑う。
臨床検査からのアクセス
頭痛の鑑別診断に必要な主要検査
@一般検査:血算、白血球分画、血沈。
A頭蓋X線:単純、Stenver's,Cardwell's,Water's,Town's法など。
B頭部CTスキャン、必要に応じてMRI。
C髄液検査。
D脳波。
E脳血管撮影。
F頚椎X線。
G眼科依頼:眼底、眼圧、視野。
H耳鼻科依頼。
I歯科依頼。
診断の確定へ
@偏頭痛:古典的偏頭痛は一般的に家族歴があり、前兆を有する。10〜50歳代の男性で、夜間就寝中に突然起こる片側性の激痛は群発頭痛を疑わせ、血中ヒスタミンの増加がみられる。
A筋収縮性頭痛:最も多い頭痛であるが、除外診断的症候名に近い。
B炎症性頭痛は髄膜炎が多く、髄液より病原体(ウイルス、細菌、真菌など)を同定する。
C脳神経痛は三叉神経痛が最も多い。舌咽神経痛、後頭神経痛などもある。
DTolosa-Hunt症候群は海綿静脈洞付近に生じる非特異性肉芽腫による。
E中華料理店症候群は中華料理を食べてから30分前後で頭痛を生じる。
頭痛の分類(Frindmanら、1962)
A.偏頭痛型の血管性頭痛:1.“古典的”偏頭痛。2.“一般的”偏頭痛。3.“群発”頭痛。4.“片麻痺型”および“眼筋麻痺型”偏頭痛。5.“顔面下半”頭痛。
B.筋収縮性頭痛。
C.連合性頭痛、血管性と筋収縮性。
D.鼻血管運動反応による頭痛。
E.妄想、てんかん、心気症状による頭痛。
F.非偏頭痛性血管性頭痛(一般に非反復性頭蓋血管拡張を伴う。)
G.牽引性頭痛。
H.頭部炎症による頭痛:1.頭蓋内疾患。2.頭蓋外疾患。
I〜M.眼、耳、鼻、副鼻孔、歯、他の頭部あるいは頚部疾患による頭痛。
N.脳神経炎。
O.脳神経痛。
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