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血痰・喀血

 鈴木 勝、秋山一男

概論

 血痰喀血は気管および下気道の出血に由来するもので、上気道や、消化管よりの出血とは区別される。明確な定義はないが血痰は痰に血液を混じた状態で喀血は1度に2〜5ml以上の血液を喀出する状態をいう。

病歴からのアクセス

 @発症様式と経過:膿性痰を喀出する内に徐々に血痰を混じてくる場合、突然血痰で始まる場合、2週間以上持続する血痰。反復する血痰・喀痰、突然の大喀血
 A誘因:気道感染、外傷、激しい咳、誤嚥、長期臥床、大量輸液。
 B素因:出血性素因、心疾患(特に僧帽弁狭窄)、深部静脈血栓症、喫煙歴、結核の既往歴、副鼻腔炎の有無。
 C随伴症状:発熱胸痛呼吸困難、咽頭痛、嗄声、鼻出血、紫斑、血尿など。

腫瘍症候からのアクセス

 @大量の喀血:まず窒息の危険の有無。及び失血によるショック症状の有無の判定が優先する。
 A吐血との鑑別:喀血は咳とともに喀出され、鮮血色で、時に泡沫状である。吐血は嘔吐を伴い、暗赤色〜黒色で、食物残渣を含むことがある。pHは酸性に傾く。
 B鼻出血、咽頭、喉頭よりの出血:これらが認められても、出血性素因のある場合や、上気道炎が気管支炎や肺炎に先行している場合など下気道よりの出血の合併も否定できない。
 C発熱気管支拡張症慢性気管支炎の急性増悪、肺炎肺化膿症、結核などを疑う。肺塞栓でも約半数に発熱をみる。
 D胸痛肺塞栓ではほとんどの例に認められる。肺炎や結核でも胸膜に病変が及べば生じうる。肺癌の胸膜や肋骨への転移。激しい咳に伴う肋骨骨折など。
 E呼吸困難慢性気管支炎の急性増悪。肺塞栓。急性左心不全。広範な肺炎。結核、肺癌。凝血による肺閉塞。
 F喘鳴:慢性気管支炎や太い気道を狭窄する肺癌。
 G湿性ラ音:血液の吸い込みによりび慢性に湿性ラ音を聴取することがある。限局性のラ音がある場合、ある程度病変の局在を推定できる。

臨床検査からのアクセス

 1.胸部X-P(断層撮影を含む)、2.気管支鏡、3.気管支造影、4.胸部CT、5.肺血流シンチ、換気シンチ、6.肺動脈造影、気管支動脈造影、7.心電図、心臓超音波、8.血沈、CRP、9.血算、10.出血、凝固検査、11.生化学検査、12.抗核抗体補体価、13.尿検査、14.寄生虫皮内反応、15.ツ反、16.喀痰検査(細菌、真菌、抗酸菌、細胞診)、17.呼吸機能検査、18.動脈血ガス分析、19.腫瘍マーカー。

診断の確定

 1.急性気管支炎:通常胸部X-P正常。血痰は少量で一過性。
 2.慢性気管支炎:慢性の咳、膿性痰。副鼻腔炎の合併。胸部X-P上過膨脹。び慢性粒状影、線状影。
 3.気管支拡張症喀血血痰を反復する。時に大量喀血。気管支造影で確定診断。
 4.肺癌:血痰は持続することが多い。血痰のある場合、喀痰細胞診の陽性率高い。
 5.肺結核:S1S2S6の病巣。空洞影。ツ反陽性。結核菌を証明すれば確診。
 6.非定型抗酸菌症:陳旧性肺結核、肺気腫、気管支拡張症などに合併しやすい。非定型抗酸菌の大量排菌。
 7.肺炎肺化膿症:肺炎球菌による肺炎では鉄錆色の痰。嫌気性菌や黄色ブ菌による壊死性肺炎、肺化膿症で、膿性痰とともに血痰をみる。時に喀血
 8.肺塞栓:突発する胸痛呼吸困難。肺血流、換気シンチ。肺動脈造影などで診断。
 9.肺アスペルギルス症:胸部X-P上、空洞内の菌陰影を認める。
 10.肺寄生虫症:さわがに、熊肉、猪肉などの接触。末梢血好酸球増多。寄生虫皮内テスト。血清抗体。
 11.左心不全:呼吸困難。肺底部の湿性ラ音。心拡大。ギャロップ。ピンク調、泡沫状の痰。
 12.肺動脈奇形:皮膚や粘膜のteleangiectasis。低O2血症。胸部X-P上境界鮮明な円形陰影で肺門と血管影の連続がある。
 13.グッドパスチャー症候群:若い男性に多い。血尿を伴い腎不全が進行する。

鑑別すべき疾患

 急性気管支炎、慢性気管支炎気管支拡張症、肺癌、肺結核、非定型抗酸菌症肺炎肺化膿症、急性左心不全、尿毒症、出血性素因、肺アスペルギルス症、肺吸虫症、気管支嚢腫、肺分画症、肺動静脈奇形、アレルギー性肉芽腫性血管炎、ウエジナー肉芽腫症、グッドパスチャー症候群、特発性肺血鉄症、気管支結石胸部大動脈瘤破裂、肺子宮内膜症、胸部外傷。

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