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慢性気管支炎

 小林伸之

概論

 慢性気管支炎は、すでに20年以上も前から症候のみによる定義づけが行われており、現在の臨床の場においてもほぼ同様の基準が用いられているのが現状である。すなわちWHO基準では「肺、気管支、上気道に限局性病変がみられず、かつ慢性持続性の咳と痰が2年以上(2冬以上)、少なくとも1年のうち3か月以上ほとんど毎日続くもの」と定義されており、米国胸部医学会(ATS)基準も同様である。病因は不明であるが、大気汚染地区の居住者、刺激性ガス吸入と関連する鉱山、重化学工業労働者、大量喫煙者に多くみられる。

臨床症状

 @持続する痰を伴う傾向があり、呼吸困難を訴えることは少ない。痰は粘液性から膿性までさまざまであり、一般には朝に多い。
 A胸部理学的には特徴的な所見はないが、ときに湿性または乾性ラ音を聴取する。
 B気道閉塞症状のみられるものは、び慢性汎細気管支炎(DPB),肺気腫との鑑別が問題となる。
C副鼻腔炎の合併に注意する。

一般検査(表1)

 @血液検査:炎症が強く、気道感染が加われば血沈亢進、CRP陽性、白血球増加がみられることもあるが、異常のないことも多い。
 A胸部X線:通常異常を認めない。
 B喀痰倍養:膿性痰より、肺炎球菌、インフルエンザ菌、溶連菌、さらに肺炎桿菌、大腸菌、緑膿菌などが検出される。

特殊検査(表1)

 @肺機能:1秒率の低下、closing volume の増加、呼吸抵抗の増大がしばしばみられる。拡散能力は正常で血液ガスもほぼ正常である。
 A気管支造影:気管支の連珠、部分的拡張などの辺縁不整像が特徴的である。
 B気管支鏡:気管支粘膜の腫脹、肥厚、分泌線の開大、分泌量の増加がみられる厚肥型と粘膜の菲薄と不整、内腔の拡大、分泌線の萎縮がみられる萎縮型があり、さらに両者の混在した移行型もみられる。
 C気道過敏性:約20%に反応性の亢進がみられる。

  表1 慢性気管支炎検査所見
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 血液検査  │正常のことが多い。気道感染が加わると血沈亢進、CRP陽性、WBC増加。 胸部X線   │ほとんど異常なし。                    
 喀痰培養  │各種殺菌。                        
 肺機能検査 │1秒率 、CV、呼吸抵抗。               
 気管支造影 │気管支辺縁不整。                     
 気管支鏡  │腫脹、肥厚、移行、萎縮の各型。              
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  表2 慢性気管支炎の管理上必要な検査
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 胸部X線   −
 肺機能検査  −  気道感染の有無、肺気腫合併の有無。
 喀痰培養   −
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診断

 @臨床的定義にあるような持続する咳、痰がある。
 A胸部X線では、他の気管支・肺疾患や心疾患を除外する。
 B気管支造影でび慢性の気管支壁不整像を認める。気管支拡張症との鑑別が重要である。気管支肺胞造影(SAB)では、肺気腫、DPBとの鑑別が可能とされる。
 C肺機能検査では閉塞性障害の程度がわかる。可逆性の有無のみでは気管支喘息との鑑別ができない。
 D本症の診断は、除外診断的な要素が強く、肺気腫、喘息と鑑別できない例ではCOPDという範疇に入れることがある。

管理上必要な検査(表2)

 肺気腫の合併がない限り予後は悪くない。しかし、長期間に及ぶ炎症で気管支壁が萎縮、脆弱化した場合は閉塞症状が強く、また気管支拡張症の合併や感染を繰り返し呼吸不全をきたすことがある。

  メデイカル・ノート
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 慢性閉塞性肺疾患COPD)の解釈:COPD(chronic obstructive pulmonary disease)という言葉は、1964年Burrows,Fletcherらにより慢性広汎な気道閉塞を有する症例につけられた名称でAA群(肺気腫型)とB群(気管支炎型│)に分類した。しかし、現在では、American Thoracic Society(ATS)の声明以降、COPDを以下のようにとらえるようになってきた。
 @慢性の不可逆性の気道閉塞がある。
 A慢性気管支炎、肺気腫、気管支喘息のうち2〜3疾患が混在して区別が困難
である。
 B典型的な上記3疾患は除外する。以上の3条件に該当するものをCOPDとし、慢性気管支炎、肺気腫、気管支喘息を一括してCOPDとすることは避け、一方典型的なる疾患は、それぞれ固有の診断名を用いるべきであろう。       

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