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気管支喘息

 森田 寛

概論

 気管支喘息(喘息)は種々の刺激に対して気管、気管支の反応性が亢進しているために広範な可逆性の気道狭窄を呈する疾患である。I型アレルギーの機序で起こるアトピー型(外因型)とそれ以外の機序で起こる感染型(内因型)を区別する。アトピー型は乳・幼・小児期に発症することが多く、一方感染型は40歳以降に発症することが多い。発作は秋に多発する。好発時間は早朝であることが多い。喘息の罹患率は2〜3%と考えられる。男女比では男性にやや多いとする報告が多い。

臨床症状

 @喘鳴(ヒューヒュー、ゼーゼー):発作的に空気が気道狭窄部を通過するときに発する音である。
 A咳:発作時に咳を訴える場合とそうでない場合がある。
 B痰:痰がほとんど認められない例もあるが、少量の粘稠な痰が排出され、ついで粘稠度の低い痰が多量に排出されて発作が始まることが多い。
 C呼吸困難:軽度の発作時には安静時には息苦しくないが、歩行、階段の昇降、労作などにより呼吸困難を訴えることが多い。発作の重症化とともに安静時にも呼吸困難を訴えるようになる。
 D発作重積状態:喘息発作が重篤でβ刺激薬やテオフイリン系薬による通常の対症療法 で治まらない状態を言う。換気が十分にできないと低O2血症、高CO2血症、呼吸性アシドーシスが出現し、不安、錯乱、意識混濁、羽ばたき振戦、頭痛チアノーゼなどの呼吸不全の症状を呈してくる。
 E乾性ラ音:聴診上、通常は全肺野にわたって呼気相、吸気相の両相できかれる。
 F起坐呼吸:発作が重症化すると患者は起坐位をとり、前かがみの姿勢で努力呼吸をするようになる。
 G頻脈・奇脈:後者は収縮期圧の吸気時の低下が増強したものを言う(>10oHg)。

一般検査所見(表1)

 @好酸球増多:末梢血、喀痰中にみられる。
 A炎症所見:感染を合併していなければ血沈値、白血球数は正常、CPRは陰性である。
 B喀痰の所見:クルシュマン螺旋体やシャルコー・ライデン結晶が認められる。
 C胸部X線所見:発作時には肺過膨張の所見がみられる。
 D呼吸機能検査:1秒量(FEV1.0)の低下など閉塞性障害の所見が認められる。
 E心電図所見:重症発作時には頻脈、右軸偏位、右室肥大、肺性P,ST-T異常、右脚ブロックなどの所見がみられる。

  表1 一般検査所見
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 血算     │ 好酸球増多。                     
−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 尿検査    │ 一般に正常。                     
−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−─── 赤沈     │ 感染時以外は正常。                  
−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−─── 血清学的検査 │ @CRP:感染時以外は正常。               
        │ AIgE:アトピー型では一般に高値(正常範囲10〜340IU/ml)
−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−─── 喀痰検査   │ クルシュマン螺旋体やシャルコー・ライデン結晶。     
−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−─── 胸部X線像  │ 発作時には肺過膨張所見。               
−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−─── 心電図検査  │ 発作時には頻脈、右軸偏位、右室肥大、肺性P、ST-T異常、右
        │ 脚ブロックなどの所見。                
−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−─── 呼吸機能検査 │ FEV1.0低下、FEV1.0%低下、DLco正常。         
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−───
特殊検査所見(表2)

 @アセチルコリン(メサコリン)吸入試験:喘息患者にアセチルコリンやメサコリンなどの気道収縮作用のある薬物を吸入させると正常人に比べてはるかに低濃度で1秒量の低下や呼吸抵抗の上昇が認められる。
 A呼吸機能検査:発作時にβ刺激薬を吸入させ、1秒量が20%以上改善すれば可逆性ありと判定する。
 B血清IgE値:アトピー型では一般に高値を示す(正常範囲は10〜340IU/ml)。
  皮膚テスト:アトピー型ではアレルゲンが見出される。わが国では室内塵、ダニが最 も重要である。
 DRadioallergosorbent testRAST):アトピー型では血清中にIgE抗体が見出される。
 Eアレルゲン吸入誘発試験:病因として疑わしいアレルゲンを吸入させ、1秒量が基準 値から20%以上低下すれば病因アレルゲンと確定できる(図1、図2)。
 Fヒスタミン遊離試験:患者白血球にアレルゲンを加えるとヒスタミンが遊離れる。

診断

 @早朝の喘鳴、呼吸困難があれば喘息の可能性が高い。
 A既往歴、家族歴にアトピー性疾患(気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎)がある場合には喘息の可能性が高い。
 B末梢血好酸球増多を示す例や気管支拡張薬やステロイドが著効を示す例は喘息である可能性が高い。
 C気道狭窄の可逆性、気道反応性の亢進が認められれば喘息と診断できる。
 D喘息との診断が得られたら、皮膚テストRASTアレルゲン吸入誘発試験ヒスタミン遊離試験でアレルゲンの有無を調べる。
 E鑑別を要する疾患は慢性肺気腫慢性気管支炎、び漫性汎細気管支炎、心臓喘息、肺塞栓、肺線維嚢胞症、気管の異物・腫瘍などである。

  表2 特殊検査所見
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−喘息診断のための │アセチルコリン(│喘息では低濃度のアセチルコリン(メサ
検査       │メサコリン)吸入│コリン)に対して気道収縮が起こる。 
         │試験      │喘息ではβ刺激薬によりFEV1.0が20%
         │呼吸機能検査  │以上改善する。           
−−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−         |皮膚テスト   │アトピー型ではアレルゲンが見出される
アレルゲン検出  −−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− のための検査   │RAST      │アトピー型では血清中にIgE抗体が見出
         │        │される。              
         −−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−         |アレルゲン吸入誘│アレルゲンの吸入によりFEV1.0の低下が
         |発試験     │みられる。             
         −−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−         |ヒスタミン遊離 │アレルゲン添加により患者白血球からヒ
         │試験      │スタミンが遊離される。       
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
管理上必要な検査

 金療法を行っている場合には定期的な血算、検尿、胸部X線検査が必要である。

図1 即時型喘息反応
図2 二相性喘息反応

即時型喘息反応


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