概論
中胚葉由来の胸膜上皮細胞より生じるまれな腫瘍で、腫瘍組織中の酸性ムコ多糖体(ヒアルロン酸)含量が高いのが特徴。限局性中皮種(多くは良性)とび慢性中皮種(多くは悪性)に分けられ、組織型としては前者はほとんどがfibrous type であるが、後者は、epithelial type (54%)、fibrosarcomatous type(21%)、および両者の混在した mixed type (25%)に分類される。男女比はほぼ2:1。び慢性中皮種は石綿線維の曝露歴と密接な関係がある。(本症患者の10〜70%に石綿曝露歴がある。)限局性中皮種は外科的切除により予後良好であるが、び慢性中皮種は外科的切除(pleuropneumonectomy)、放射線療法、化学療法によっても予後不良、多くは診断後1年内に死亡する。
臨床症状
限局性中皮種:
@無症状のことが多い。腫瘍が大きくなると局所の胸痛を示す。
A胸部外の症状として hypertrophic osteoarthropathy を随伴することが、び慢性中皮種に比べて多い。
び慢性中皮種:
@初期には無症状のこともあるが進行するにつれて諸症状が出現する。
A胸痛(50〜70%):もっとも多い症状で胸壁への腫瘍の浸潤により、ときどき激しい痛みとなり肩や上腹部へ放散する。
B呼吸困難(35〜70%):初期は労作時のみであるが病期が進行するにつれて拘束性障害が強くなり安息時にも呼吸困難が出現する。
C乾性咳嗽(6〜30%)、体重減少(9〜20%)、発熱(6〜13%)、 血痰。
Dその他、食欲低下、発汗、バチ状指、嚥下困難・嗄声・Horner症状(縦隔胸膜への浸潤)、不整脈(心膜への浸潤)、浮腫(上・下大静膜の閉塞)、自然気胸などがみられることがある。
一般検査所見(表1)
@血液・尿所見:特徴的所見なし。
A胸部X線:限局性中皮種:胸水貯留はまれ。胸膜に関連した局所的な腫瘤状陰影。肺や病変部以外の胸膜は正常。び慢性中皮種:一側性の胸水貯留。主に胸腔下部から始まる胸膜の肥厚、腫瘤陰影。胸腔穿刺後に胸腔内へ空気注入をすることにより初期病変を発見できることがある。
B胸部CT:上記所見を明確にし、病期の進展の確認に有効。
特殊検査所見(表1)
表1 胸膜中皮腫の検査所見
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一般検査 血液・尿所見:特徴的所見なし。胸部X_P:限局性中皮種→胸水貯留まれ。境界明瞭な腫瘍影。び慢性中皮種→一側性の胸水貯留。胸腔下部から始まる胸膜肥厚、腫瘤影。胸部CT:病期決定に有効。
特殊検査 胸水穿刺:滲出液。血性(30〜50%)。胸水中ヒアルロン酸濃度高値。開胸生検:限局性中皮種→線維成分多い。び慢性中皮種→epithelial type、fibrosarcomatous type、mixed type。組織化学的に酸性ムコ多糖体を染色する。電顕で腺癌との鑑別可能。
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@胸水穿刺:滲出液(TP↑、LDH↑)。血性(30〜50%)B細胞診はepithelial typeで陽性例が多いが腺癌との鑑別が困難。胸水中ヒアルロン酸濃度0、8rNml 以下なら本症と診断可。
A開胸胸膜生検:
i)光顕―組織診断には十分量の組織が必要であり、針生検では不十分。限局性中皮腫線維成分が多く紡錘形細胞や膠原線維を含む。び慢性中皮腫:上皮様中皮細胞の多いepithelial type(54%)、線維成分の多いfibrosarcomatous type(21%)およびmixed type(25%)。
ii)電顕―針生検材料でも腺癌との鑑別可能。中皮腫 :多数の細長い微絨毛とデスモソ―ムの存在が目立つ。腺癌:短く太い絨毛。
iii)組織 化学―組織中の酸性ムコ多糖の染色または定量。
診断
@胸部X線やCTにて特徴的な所見のある例について胸水検査、開胸肺生検を実施し確定診断をつける。
A胸水中のヒアルロン酸の定量を実施し高値を示す場合は本症を強く示唆する。
B石綿粉塵暴露歴および石綿肺(肺線維症、開胸石灰化プラ−ク)との関連がある場合は診断上重要である。
管理上必要な検査(表2)
表2 Butchartの病期分類
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T期:腫瘍は一側の胸膜・肺にとどまる。
U期:腫瘍は胸壁、縦隔、心嚢および対側胸膜へも浸潤する。
V期:腫瘍は胸郭、腹膜さらに胸郭外のリンパ節へも浸潤する。
W期:血行性遠隔転移を伴う。
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胸部内病変の検索にCT、血行性転移の検索に骨、肝シンチが有用。
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