概論
慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia,CML)とは、骨髄・末梢血中に骨随芽球から好中球までの各段階の顆粒球系の細胞が増加する腫瘍性疾患である。通常初期は慢性の経過をとるが、数か月〜数年を経て芽球が著増する急性転化と呼ばれる段階に入り死亡する。好発年齢は中高年で若干男性に多い。
臨床症状
@初病当初は治療を行わずとも比較的慢性に経過するため、無症状のまま偶然の機会に白 血球増加を指摘され診断に至ることもある。
Aある程度進行した段階では全身倦怠感、発熱、食思不振などの全身症状を呈するが、急 性白血病に比し程度は軽い。
Bその他脾腫による腹部の圧迫症状、貧血症状、出血症状などがみられる。
C急性転化をきたした例では急性白血病と同様に発熱、全身倦怠感などの全身症状が強く なるとともに、骨痛、脾腫の急激な増大などがみられる。
一般検査所見(表1)
@末血・骨髄は各成熟段階の顆粒球が著増する。慢性期では骨髄芽球が10%以下のことが多く、急性転化に伴い急増する。好酸球・好塩基球も増多することが多い。血小板は発病初期にはやや多めのことが多いが進行するにつれて減少する。赤血球数は初期は正常であるが進行するに従い減少する。成熟好中球のNAP scoreは低値を示す。
A生化学的検査ではLDH、尿酸の増加していることが多い。
B腹部エコー上、中等度以上の腫脹がみられることが多い。
表1 CMLの検査所見
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末梢血所見:
@白血球増多(1万〜数十万/o3)。分画では各成熟段階の顆粒球系の細胞が著増。慢性期は骨髄芽球<10%。好酸球、好塩基球増多のみられることもある。
A進行例では赤血球・血小板減少。
BNAPscore低下。
骨髄所見:
@有核細胞数増加。
A顆粒球系の細胞が著増。慢性期では骨髄芽球<10%。生化学検査:LDH、尿酸の上昇、B 12上昇。染色体分析:Ph1染色体(9.22転座)。腹部エコー:脾腫。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
表2 急性転化の兆候
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臨床症状 | 検査所見
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38℃以上の発熱|末血中の芽球>5%。骨髄中の芽球>10%。貧血・血小板減少の進行。
骨痛 |LDHの急増。CRPの陽性化。Rh1染色体以外の染色体異常の出現
脾腫の急激な |
増大 |
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表3 CMLの管理上必要な検査
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2〜4週間間隔で施行する項目|@血算
|A生化学的検査(特にLDH、尿酸)
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急性転化を疑った際に |@骨髄穿刺
施行する検査 |A染色体分析
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特殊検査所見
@染色体分析ではRh1染色体(9.22転座)が特徴的。数%程度のCMLはPh1陰性。
A急性転化時には芽球の分類のために特殊染色、細胞表面抗原分析、遺伝子分析を行う。
詳細はp.245参照。
診断
@慢性期の診断:各成熟段階の顆粒球が増加している状態で、Ph1染色体陽性ANAPscore 低値、LDHの上昇、脾腫を証明し、CSF産生腫瘍類白血病反応が否定できればほぼ診断は確定的と思われる。
A急性転化の診断:急性転化の兆候として表2を参照されたい。実際には慢性期とも急性転化ともいい切れない症例もありaccerelated phaseと呼ばれる。急性転化と判断したら、芽球の分類のための検査(特殊検査A参照)を行う(芽球のタイプにより治療法が異なる)。
管理上必要な検査(表3)
@慢性期には通常白血球を1〜2万/o3程度となるように治療を行うので、治療効果の判定に表3の項目を検査する。
A急性転化を疑う際(表2参照)は骨髄穿刺、染色体分析を再度行う。
メディカル・ノート
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Ph1染色体
CMLにみられるPh1染色体の分子生物学的解析から本疾患の病態が遺伝子レベルである程度解明されてきた。Ph1染色体は9番と22番の染色体の相互転座であるが、この転座に伴い9番の長腕にあるc-abl遺伝子が22番のbcrと呼ばれる部分に移る。正常のc-abl蛋白はチロシンキナーゼ活性は弱いか、あるいはまったく欠いているが、bcrに移ったc-abl蛋白はチロシンキナーゼ活性を持つようになり、癌化との関連が推測されている。
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