概論
骨髄線維症とは全身の骨髄組織の線維化を呈する疾患の総称である。これには原因不明の原発性ないしは特発性骨髄線維症と、他の疾患(真性多血症、慢性骨髄性白血病、血小板増多症、粟粒結核、癌の骨髄転移など)に続発する続発性骨髄線維症とがある。続発性についてはそれぞれの基礎疾患の項を参照されたい。本稿では特発性骨髄線維症に関して述べることとする。特発性骨髄線維症は骨髄の線維化とそれに伴う髄外増血(脾腫)、進行性の貧血を主徴とする疾患で、40歳以降に好発し性差は認められない。骨髄細胞のG6PD isotypeに関する研究の結果などから、本症の異常は多能性幹細胞のレベルの造血細胞にあり、線維化は正常の線維芽細胞がなんらかの刺激を受けて増殖する結果生ずるとする説が有力である。このような発症機序から、本症は慢性骨髄性白血病(CML)、真性多血症、血小板増多症と同様に骨髄増殖性疾患の一つに位置付けられることが多い。
臨床症状
@脾腫はほとんど全例にみられ中等度大以上になることが多く、左季肋部腫瘤の自覚、腹部圧迫感を呈する。巨脾になると脾梗塞を起こすことがあり、左季肋部の強い痛みを生じる。
A労作時息切れ、立ちくらみなどの貧血症状や血小板の低下している症例では皮下出血、鼻出血などがみられる。
一般検査所見(表1)
表1 骨髄線維症の検査所見
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末梢血所見:
@中等度の貧血(赤血球は涙滴奇型がみられる)。血小板は増加する場合が多いが減少例もある。白血球増加(幼弱球を含む、数万Nmm3程度まで)。赤芽球の出現。
骨髄所見:
@dry tap。生検像は低形成性骨髄で種々の程度の繊維化と巨核球の増加がある。
凝固能検査:
@血小板凝集能低下、PT延長、FDP増加。食道造影:食道静脈瘤。
好中球AIP染色:NAP score増加。
染色体分析:特定の異常は見られない(Ph1染色体(-))。
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@未血では中等度の貧血と髄外造血によるleukoerythroblastosis(幼弱白血球を含んだ数万Nmm3までの白血球増加と赤芽球の出現)が特徴的。赤血球は涙滴奇型がみられる。血小板は増加している例が多いが減少する場合もある。
A骨髄は線維化のためdry tapのことが多い。生検像では低形成で種々の程度の線維化と巨核球の増加がみられる。
B生化学検査は特徴的な変化はない。
C凝固能では血小板凝集能の低下やPT時間の延長のみられることが多い。
特殊検査所見(表1)
@巨脾のため門脈血流が増加し食道静脈瘤のみられることがある。
ANAP score(好中球AIP染色)は正常か増加していることが多い。
B染色体分析では特徴的な異常はみられない(Ph1染色体(-))。
診断
@脾種を生じる他の疾患でも脾機能亢進のため貧血を合併することが多く、それらの除外 が必要になる。鑑別を要する疾患としては、肝硬変、Banti病、Gaucher病等の先天性代 謝異常症など。
A他の骨髄増殖性疾患との鑑別。本疾患は骨髄増殖性疾患の一つに位置づけられ、ときに 他の骨髄増殖性疾患との鑑別に困難を感じる例がある。CMLとの鑑別のためにNAP score 、染色体分析を行うとともに詳細に病歴を聴取し、血球増多の時期がないかを検討する。
管理上必要な検査(表2)
表2 管理上必要な検査
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2〜4週間間隔で施行する検査 |血算、生化学
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白血化を疑う時点で施行する検査 |骨髄穿刺
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本疾患は通常数年の経過で血球減少、白血化などのために死亡する。定期的に血算、脾種の大きさのチェックを行う。
メディカル・ノート
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急性骨髄線維症
発熱・全身倦怠感とともに血球減少・少数の芽球の出現を認め、骨髄は線維化と種々の程度の芽球の浸潤をみる疾患で、通常1年以内に死亡する。その本体は急性巨核性白血病とする説が有力で、慢性骨髄線維症とは別の範疇に属する疾患と考えられる。
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