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原発性アルドステロン症

 藤田寛子、小島 至

概念・病型
 レニン・アンギオテンシン系に依存しないアルドステロン分泌増加によって起こるミネラルコルチコイド過剰症。その原因によって以下の病型に分類される。
 副腎腫瘍:腺腫、癌。
 副腎過形成:−−特発性アルドステロン症:グルココルチコイド反応性アルドステロン症(GSH)、大部分は副腎腺腫による。癌・GSHは極めて稀。

臨床症状
 アルドステロン過剰による症状:
@ナトリウム貯留→エスケープ現象*→血管反応性上昇→高血圧症**。
A低K血症性アルカローシス***:筋力低下・易疲労感、四肢麻痺、多飲・多尿(低K血症性尿細管障害)、耐糖能異常。
*:エスケープ現象:アルドステロンの作用によりナトリウム貯留が進行すると、代償的にナトリウム利尿が生じ、その結果体液量は正常よりやや増加したレベルで平衡状態となる。これをエスケープ現象という。
**:高血圧症:原発性アルドステロン症は高血圧の約1%を占め、副腎性高血圧の原因としては最も多い。
***:一般にアルドステロン症の病態は軽度であるため、この様な異常は腺腫においてよく見られる。

一般検査所見

 Na>142mEq/l。K<3.5mEq/l。代謝性アルカローシス。心電図所見:低K血症性変化。高血圧性変化。耐糖能異常。

特殊検査所見

@原発性アルドステロン症の診断に有用な検査所見
 a.PAC/PRA比:体位やNa摂取量に関係なく採血し、PAC/PRA非を測定する。
 (正常値<200、原発性アルドステロン症>400)
 b.食塩負荷試験:3日間食塩を経口負荷し1日尿中Na摂取量を250mEqとした状態で尿中アルドステロンの抑制状態を見る。(正常値<10μg/日)
A病型診断に有用な検査:
 a.PACの日内変動:PACがACTHの日内変動に依存しているかどうかをみる。
 b.立位ラシックス負荷試験:ラシックス1mg/kgを静注し、同時に2〜4時間立位をとらせてPACが内因性アンギオテンシンに依存しているかをみる。
 c.カプトプリル負荷試験:アンギオテンシン変換酵素抑制剤であるカプトプリルの投与によって血中アンギオテンシンUを減少させこれによるPACの反応をみる。
 d.CT:副腎CTによって直径1cm以上の腫瘤は検出可能である。
 e.副腎シンチ:dexamethasone 2mg/日を投与して正常副腎を抑制した条件で行う。
 f.静脈血サンプリング:両側副腎静脈に選択的にカテーテルを入れて採血し、PACを測定し、両側性か片側性かを調べる。

診断

@原発性アルドステロン症の診断:
 a.低K血症を合併した高血圧患者をみたらサイアザイドなどの利尿剤の投与の有無、甘草*の含まれた漢方薬の服用の有無をチェックする。また尿中K排泄が多いかをチェックする。
 b.PAC/PRA比の測定:PAC/PRA比が400以上あれば原発性アルドステロン症の可能性が極めて高い。さらに診断を確定するためには食塩負荷後の尿中アルドステロンを測定する。
*:甘草中に含まれるグリチルリチンはアルドステロン作用を持つため、その過剰摂取によってアルドステロン症と同じ病態を呈する(偽アルドステロン症)。
A病型の診断:
 副腎眼は頻度も低く、また腫瘍がかなり大きいため(通常6cm以上)CTやエコーで診断は易しい。またコルチゾールなどの他のステロイドの過剰を伴うことが多い。臨床的に問題となるのは副腎腺腫と過形成の鑑別である。この二つは以下の特徴を考慮して診断していく。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                  |副腎腺腫      |副腎過形成
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PAC                 |  ↑↑      |   ↑
PACの日内変動            |  PAC値:朝>昼  |   朝<昼
立位ラシックス負荷試験後のPAC    |  無反応−低下  |   上昇
カプトプリル負荷試験        |  反応+     |   反応−
画像診断              |          |
CT                 |  片側性腫瘤   |   両側過形成
副腎シンチ             |  片側性uptake  |   両側性uptake
静脈血サンプリング         |  片側でPAC↑   |   両側でPAC↑
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