概論
Na(ナトリウム)はそのほとんど(97%)が細胞外液中に含まれていて細胞外液の量と浸透圧の調節に働いており、血清Na濃度の測定は体液量平衡について推察する際の重要な検査である。K(カリウム)はNaと異なり細胞内にそのほとんど(99%)が存在するため血清K濃度をもって体内の総K量を推定する場合には注意を要する。Cl(クロール)はNaと同じく細胞外液中に多く存在し(75%)血清中ではNaと平衡して移動することが多い。Na,K,Cl,ともに体外への排泄は主に腎臓からである。臨床的に問題となるのはNaとKでありClについては多くの場合一義的な意味がつけられていない。
測定法と正常値
Na,K,Clの測定は炎光分析ないしイオン電極法で行われている。いずれの測定の際にも血清中蛋白濃度、脂質濃度が著しく高値の場合にみかけ上測定値が低下することがある。
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| 測定法 | 正常値
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Na | 炎光分析法 | 136〜147mEq/L
| イオン電極法 | 135〜150mEq/L
K | 炎光分析法 | 3.5〜4.8mEq/L
| イオン電極法 | 3.6〜5.0mEq/L
Cl | 電量適定法 | 96〜108mEq/L
| イオン電極法 | 96〜108mEq/L
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表1 低Na血症をきたす疾患
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@Na欠乏
a.消化管からの喪失(嘔吐、下痢)
b.腎からの喪失(慢性腎不全、ナトリウム喪失慢性腎不全、ナトリウム喪失腎症、尿細管アシドーシス、利尿剤、副腎皮質機能不全、低アルドステロン症)。
A水過剰
a.SIADH(肺ガン、肺疾患、脳疾患)。
BNa増加とNaを上回る水の過剰
a.浮腫をきたす疾患(心不全、腎疾患、肝硬変)。
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表2 高K血症をきたす疾患
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@産生ないし投与の過剰
a.産生過剰(溶血、組織崩壊、飢餓)。
b.投与過剰(K剤の投与、高K食摂取)。
A排泄の低下
a.腎不全
b.低アルドステロン血症。
c.抗アルドステロン剤の投与。
B細胞内からの移行
a.アシドーシス。
b.インスリン欠乏。
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異常値の意味
@高Na血症:150mEq/L以上の濃度となる場合で比較的まれである。実際にみられるのは不適当な高張液の投与のような医原性の場合と、脱水がありながら水分補給が出来ない意識障害者、老人、乳児等の場合のいずれかであることが多い。原発性アルドステロン症、クッシング症候群も血清Na値はやや高値となるが明らかな高Na血症を呈することは少ない。
A低Na血症:135mEq/L以下の場合であるが、Na体内から失われて欠乏性の場合と、Naは減少していないが水分が過剰に貯留した希釈性の場合がある。また腎不全症例によくみられる低Na血症のごとく、Naの増加を上回る水分の過剰が原因のこともある。さらに、特殊な場合として高窒素血症や高血糖があると浸透圧の恒常性維持のためNa濃度は低く調節される。Naと水のバランスから低Na血症となる場合を表に示す(表1)。
B高K血症:5.0mEq/L以上の場合であるが、検体の溶血でも異常高値となるので注意する。高K血の原因は大きく分けて産生の過剰(投与の過剰)、排泄の低下、細胞内からの移行の3つに原因がある(表2)。
C低K血症:3.0mEq/L以下の場合でその原因は高K血症の場合と反対である。すなわち下痢、嘔吐等による摂取量不足、アルドステロン症や利尿剤投与による腎からの排泄増加、アルカローシスやインスリン投与の際の細胞内への移行等によって低K血症を生じる。 D血清Clの異常:Cl値はNa値とほぼ平行して増減することが多いが、また同じ陰イオンの重炭酸塩(HCO3-)の変動に伴って動くことがある。脱水、高張食塩水の投与でNaと伴ってCl値は増加し、嘔吐、下痢、利尿剤の投与で減少する。アシドーシスで、HCO3-が減少すればClは陰イオンとして動員され増加する。
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