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全身倦怠感

 當間重人

概論

 全身倦怠感は、日常生活の中でおそらく誰もが感じたことのある症候である。また種々の疾患に伴うことが多いということ、あるいは客観的把握が困難なことなど、診断的特異性に乏しい症候である。しかしながら臨床上しばしば出会う訴えであり、倦怠感が種々の疾患の初期症状であったり、あるいは倦怠感が前景にでたために特異的症状が隠されていることも多いものである。特異的症候が存在する場合には、おのずとその後のアプローチの方向づけがなされる訳であるから、ここでは全身倦怠感が主訴である場合について述べることにする。いずれにせよ、その訴えが生理的なものなのか、病的なものなのか、あるいは心的要因が関与しているものなのか(全身倦怠感という愁訴は、身体的疲労と 心的閾値の相対的関係で生ずるものと考えることができよう)それらを常に鑑別しつつ特異的所見の有無を検索し、最終診断へ迫ることになる。

病歴からのアクセス

症候の詳細を把握するために
 @発症様式と経過:過労、仕事、心的ストレス、妊娠、海外旅行など明らかな発症時期の有無。自覚する時間帯。周期性の有無。躁期の有無。
 A倦怠感の性質:臥床や睡眠など休息で消失するか。飲酒、スポーツなどで和らぐか。 B既往歴:同様の訴えで治療を受けたことがあるか(特にうつ病など)。飲酒歴。感染性疾患患者との接触の有無(ウイルス性肝炎AAA HREF="imd00237.html">AIDS、結核など)。
 C職業歴:鉛、有機溶媒など。
 D随伴症状:特異的症候の存在が聞き出せれば、それに越したことはないが、発熱、体重 減少など他の全身的症候の存在は病的倦怠感を疑わせる。

主要症候からのアクセス

 先述のとおり、全身倦怠感のみから確定診断に至るのは困難である。しかしながら、その性質、随伴所見によりある程度のアプローチが可能である。
 @倦怠感の日較差、周期性の有無:うつ病。
 A生理、妊娠、更年期など:特殊な生理的状態。
 B貧血症状、易出血性、易感染性、リンパ節腫大、肝脾腫血液疾患
 C心拍数異常、血圧異常、色素沈着、体重変化、発汗異常、寒暖にたいする過敏反応、体毛異常、浮腫、眼症状、頚部腫大、口渇、多飲、多尿:内分泌・代謝疾患。
 D黄疸、手掌紅斑、肝脾腫浮腫:肝疾患。
 E多関節痛、手指の腫脹、皮膚硬化、口腔乾燥症状、筋痛、呼吸器症状:膠原病。
 F体重減少発熱下痢、リンパ腫、カポジ肉腫、易感染性:AIDS
 Gその他あらゆる随伴症状。

臨床検査からのアクセス

全身倦怠感に対するスクリーニング検査
 @血算(血液像を含む)、A血沈、CRP、B血液生化学(血糖を含む)、C検尿、D胸部X線、E心電図。

診断の確定へ

 問診、診察の結果、単なる過労と考えられる場合には経過をみておればよい。病的な倦怠感の原因は多数あるが、内分泌代謝疾患、感染症、腫瘍、膠原病、中毒など内科的疾患の他に、精神病(特にうつ病)があげられる。随伴症状、所見を見い出したり、スクリーニング検査を参考にアクセスが開始される訳であるが、問題となるのは『うつ状態』である。全身倦怠感を主訴として訪れる患者の多くはうつ状態にあり、こうした患者は問診の課程でさまざまな身体症状を訴え出すことがあるからである。こうした場合、スクリーニング検査により器質的疾患を鑑別していくとともに、十分な問診を繰り返し精神的(心因的)要因を洗い出してゆく他なく、心療内科医や精神科医の協力が必要となる。全身倦怠感を呈する原因を網羅するのは意味ないが、倦怠感以外の自他覚的症状、所見が比較的乏しい場合がある原因を列挙する。@うつ状態。Aうつ病。B甲状腺機能異常。CAddison病。D糖尿病。E中毒。F肝疾患。G電解質異常、脱水。H血液疾患貧血、白血病、リンパ腫)。IAIDS

鑑別すべき疾患

 およそすべて疾患が対象となってしまう。重要なことは器質的病変の有無、特にうつ病との鑑別である。ただし種々の疾患でうつ状態の存在することも念頭に入れておかねばならない。

メディカル・ノート
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 甲状腺機能亢進症に対する治療による機能低下、副腎皮質ホルモン減量中(特に急激に減量した場合)など医原的ともいえる全身倦怠感の出現にも留意が必要である。
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