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痙攣

 江藤文夫

概論

 全身性または局所性に生じる急激で不随意な筋収縮を痙攣と呼ぶ。発作性のもが多い。痙攣の生じる部位および型(強直性と間代性)により分類される。また、原因により真性てんかん症候性痙攣心因性痙攣に分けられる。神経系特に脳の器質的ないし機能的異常により生じるが、その基礎疾患としては全身性内科疾患によるものもまれでない。

病歴からのアクセス

 症状の把握
 @痙攣を生じたときの状況。
 A全身性か局所性か、その部位は、局所から始まり全身に拡大したか。
 B強直性か間代性か。
 C痙攣の持続時間。
 D意識障害の有無。
 E神経学的局所徴候の有無。
 F頭痛発熱の有無。

病歴・基礎疾患の確認
 @年齢、性別。
 Aてんかんの既往歴。
 B高血圧糖尿病、腎炎、心弁膜症。
 C頭部外傷、開頭手術の既往。
 D脳血管障害の既往。
 E薬物服用の有無。

主要症候からのアクセス

 @前駆症状や発作直前の胃部不快感、四肢のしびれ感などの前兆に引き続いて前身の強直痙攣で始まり、意識消失し、ついで間代性痙攣に移行する痙攣は、てんかん大発作を考える。
 A一側の手など局所から痙攣が始まり、全身性痙攣が生じる場合は焦点性運動発作(→てんかんの項、疾患編 P.376参照)を考える。
 B発熱、項頭強直などの髄膜刺激症状を有する場合は髄膜炎など頭蓋内感染症を疑う。 C糖尿病患者で経口糖尿病剤などで治療中であれば低血統を検索する。
 D急激な腹部症状で始まり、痙攣を生じ、四肢麻酔や深部腱反射消失など末梢神経症状を伴う場合は急性間?性ポルフィリン症を疑い、尿検査を行う。
 E脱水症状や全身疾患を有する場合は、血清電解質を検索する。

臨床検査からのアクセス

 痙攣の鑑別に必要な主要検査
 @一般検査:検尿、検便、血算、血沈、血液生化学(肝機能、腎機能、電解質、血糖)。
 A呼吸機能、血液ガス、胸部X線。
 B梅毒血清反応、ウイルス、免疫学的検査。
 C心電図。
 D眼底検査、頭蓋X線、頭部CTスキャン、脳血管撮影、MRI。
 E髄液検査
 F脳波。
 G心理テスト。

 痙攣鎮静期の脳波検査は単極、双極誘導で、覚醒安静時、深呼吸反復後(過換気)、光刺激、睡眠(自然)記録をルーチンに指示。

診断の確定へ

 @てんかん(疾患編、p.376参照):既往歴に注意し、内服薬のコンプライアンスを確認する。自発的に服薬中止したり減量していることがある。
 A器質性脳疾患に伴う痙攣
 脳腫瘍:原発性と転移性に分ける。後者は痙攣が初発症状になることがある。肺原発か、肺転移を有するものがほとんどである。
 脳血管障害脳出血では急性期、脳梗塞では発病6か月前後に発病することが多い。くも膜下出血では数年経て、発病することがあるので注意を要する。
 頭部外傷:急性期には診断は容易だが、数年以上経て初発することもある。
 脳感染症脳炎髄膜炎によるものが大半で、日本脳炎、ヘルペス、麻疹などに注意する。クロイツフェルトヤコブ病ではミオクローヌス発作が多い。
 B機能性脳障害に伴う痙攣
 電解質異常:低Na血症、高Na血症、低Ca血症、低Mg血症で生じる。
 低血糖:発作時の血糖は50mg/dl以下、医原性の場合が多いが、インシュリノーマや重度肝障害時にもみられる。
 アダムス・ストークス症候群:急性低酸素血症が痙攣を生じさせる。
 中毒:一酸化炭素、鉛、アルコール、薬物によるものが多い。
 過換気症候群:アルカローシスと血中Caイオンの低下が痙攣を生じさせる。

鑑別すべき疾患
 真性てんかん
 症候性痙攣:脳器質性、機能性
 心因性痙攣:ヒステリー、過換気症候群

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