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肝腫

 堀江行雄

概論

 肝腫とは病的な肝臓の腫張を意味する。正常人では肝臓の右葉の下縁は右肋骨弓付近、左葉の下縁は右鎖骨中線上第6肋骨付近にある。この右葉上縁から下縁までの長さは正常人では12cm程度であり、これが15cm以上ある場合には肝腫があるとして良い。
 肝を触知したとしても、次のように肝病変がない場合もあるので注意を要する。
 @正常人でも約3割は僅かに肝臓を触知する。
 ARiedel葉(右葉の舌状下方への限局性の突出)の様な形態異常が存在する場合。
 B肺気腫、胸水、気胸などの胸部疾患にて肝臓の下方への偏位により触知する場合。

病歴からのアクセス

 @生活、既往歴
 輸血歴、飲酒歴、旅行歴、薬剤の服用歴。
 A随伴症状
 発熱黄疸腹痛

主要症候からのアクセス

 @腫大の程度:数横指にも及ぶ肝腫は転移性肝癌に多い。肝硬変では右葉萎縮、左葉腫大となることが多い。
 A肝の性状:触知する肝に対しては辺縁が鋭:鈍、表面が平滑:粗、硬度が柔:硬を見る。
 B圧痛:急性肝炎や肝膿瘍では圧痛をみることが多い。
 C雑音の有無:原発性癌では聴診上動脈性の雑音を見ることが多い、
 D随伴所見:黄疸腹水脾腫の有無を見る。

臨床症状からのアクセス

 @血液検査
 a.血算(WBC、RBC、Hb、Ht、血小板数
 b.凝固系(プロトロンビン時間、aPTT、Fib、ヘパプラスチンテスト
 c.生化学(TPAAlb、蛋白分画、T.Bill、D.Bill、GOT、GPTγ-GTP、ALP、LDHTTT、ZTT、Chol、ChE)
 d.血清(CRP、HBsAg、sAB、cAb)
 A画像診断
 a.超音波検査
 b.(場合により)腹部CT、MRI、肝シンチ、血管造影

診断の確定へ

 @肝腫を見た場合:肝腫を見た場合、血液検査とともに先ず超音波検査を行う。超音波検査にて診断が確定しなくてもび慢性腫大であるか、限局性腫大であるか鑑別可能である。
 Aび慢性腫大:び慢性腫大を呈する疾患では、飲酒歴、輸血歴、旅行歴などを聴取する。またウイルス性のものでは原因ウイルスの抗原抗体価が変化を示す。また診断が困難な場合には腹腔鏡、肝生検を行う。
 急性肝炎では著明なGOT、GPTの上昇を見る。慢性肝炎では特異的な所見に乏しいが、長期にわたり肝機能異常を認める。肝硬変では合成能や排泄能の低下を示し、画像上も辺縁の鈍化や、表面の結節状変化、内部エコーの不整化を見る。脂肪肝では超音波検査上、エコーレベルの上昇や血管の不明瞭化が見られる。
 B限局性腫大:超音波検査にて限局性病変(SOL)を見た場合には、CT、肝シンチ、血管造影などを施行するとともにAAA HREF="imd00334.html">AFP等の腫瘍マーカーを調べる。
 原発性肝癌は肝硬変と合併することがおおく、超音波検査ではbull's eye appearanceを呈する。原発巣の精査が必要である。
 肝膿瘍は発熱全身倦怠感などを伴い、炎症反応の上昇を示す。画像上経時的多様性、内部の液状壊死をみる。

鑑別すべき疾患

 1.急性肝炎、2.慢性肝炎、3.肝硬変、4.脂肪肝、5.蓄積性疾患、6.原発性肝癌、7.転移性肝癌、8.肝膿瘍、9.肝嚢胞、10.うっ血肝、11.Budd-Chiari症候群、12.閉鎖性黄疸

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