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末梢動脈疾患

 池ノ内浩

概論

 閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliteransASO)、Buerger病(thromboangitis obliteransTAO)、急性動脈閉塞が中心である。ASOは30歳以上の末梢性動脈閉塞性疾患で最も頻度が高い。下肢が侵されることが多い。浅大腿動脈病変が90%でみられ、次に腸骨動脈および膝窩動脈が多い。60〜70歳代の男性、特に糖尿病患者に好発する。TAOは炎症性の動脈疾患でありAASOより末梢を侵し喫煙と強い関連がある。男女比は75:1、全年齢に起こるが20〜45歳に多い。急性動脈閉塞は中枢性に存在する血栓または粥状腫の破片が末梢動脈を閉塞するものである。通常は左心室または左心房の壁在血栓、弁に付着した血栓が原因である。心筋梗塞心房細動を伴った僧帽弁狭窄症・甲状腺機能亢進症、人工弁、拡張型心筋症、心内膜炎等の基礎疾患に伴う。もっとも多いのは深大腿動脈分枝部の大腿動脈で、大動脈から腸骨動脈への分枝部にも多発する。

臨床症状

 @ASO:最も多い症状は間歇性跛行である。患者は運動時に下肢の疼痛や脱力を感じ休むことで症状は軽快する。さらに進むと安静的疼痛を生じる。そのほか下肢の冷感、知覚障害、変色をみる。
 ATAO:若年で、喫煙歴があり、血栓性静脈炎の既往を持つ男性に生じた末梢の虚血は本症が疑われる。下肢が最も多く、冷感を伴う。下肢特に指の動脈も70%で侵されている。Raynaud症状、異常発汗、指の潰瘍が一般的である。疼痛は他の末梢動脈疾患に比べてしばしば耐え難い激痛である。40%の症例で先行するまたは合併する逍遥性血栓性静脈炎を伴う。間歇性跛行を伴う。
 B急性動脈閉塞:半数は突然四肢末梢の激痛で発症する。その他では数時間にわたって症状が徐々に出現する。60%で知覚異常が出現する。腸骨動脈分枝部閉塞ではショックに陥る。

一般検査所見

 @ASO:下肢冷感、動脈拍動の微弱または消失、血管雑音、腫脹、皮膚乾燥、チアノーゼ、潰瘍(特に爪先)、壊疽。高血圧尿糖、高血糖、高脂血症。Leriche症候群(isolated aorto-iliac disease.では、両下肢の脈欠損、インポテンツを示す。
 ATAO:青壮年男性の四肢の冷感、間歇性跛行。血中コレステロール、耐糖能は正常。
 B急性動脈閉塞:罹患四肢末梢の蒼白、冷汗、動脈拍動の欠損。動脈閉塞部の圧痛。腱反射、知覚の鈍麻。筋力の低下、静脈の虚脱。側副血行が良好であれば間もなく症状は軽減するが壊疽に至る。

特殊検査所見

 @ASO:超音波ドップラー血流検査、RIアンギオ:狭窄閉塞の部位程度がわかる。血管造影:内膜不整、狭窄、閉塞、側副血行路の存在。
 ATAO:血管生検:小動脈内膜の炎症性細胞浸潤、血栓形成、内弾性板の温存。血栓内の無菌性微小膿瘍は特徴的。血管造影:動脈硬化、主要大血管病変の欠如。小動脈閉塞および木の根状に発達した側副血行路。
 B急性動脈閉塞:心臓超音波検査:基礎疾患の検査。血管造影:塞栓による血管の途絶像。心房細動の基礎疾患の診断。

診断

 @ASO:臨床所見より診断は容易である。高度の貧血、静脈疾患、関節痛、動脈血栓症、脊椎、脊髄疾患と鑑別が必要なことがある。
 ATAO:臨床症状、生検、血管造影所見より診断する。
 B急性動脈閉塞:血栓形成の基礎疾患をもつ患者に突然疼痛を伴って発症した場合の診断は容易である。

管理上必要な検査

 @ASO:心筋梗塞脳血管障害の合併が多く生命予後に影響するため、冠不全等の検査が必要。
 ATAO:生命予後は良いが、進行すると四肢切断が必要な頻度が高い。
 B急性動脈閉塞:基礎疾患を伴う場合の死亡率は20%以上であり、繰り返し起こすことが多い。

  表1 末梢動脈疾患の一般検査
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@超音波ドップラー血流検査。
ARIアンギオ。
B血管造影:閉塞部位、基礎疾患の検査。
Cコレステロール、甲状腺機能。
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  表2 末梢動脈疾患の管理上必要な検査
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@動脈硬化促進因子:コレステロール、耐糖能、尿酸値、HDLコレステロール。
A負荷心電図(可能であれば)。
B超音波ドップラー血流検査。
CRIアンギオ。
D血管造影、心臓カテーテル検査。
E心臓超音波検査。
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