概論
ウィルソン病は銅、原発性ヘモクロマトーシスは鉄の沈着に起因し、いずれも常染色体劣性遺伝で男性に多い。治療可能な疾患であり、早期診断が大切である。最終的に肝硬変をきたすが、前者では肝細胞癌の合併はまれ、後者では高率である。前者は肝硬変、Kayser-Fleischerの角膜輪、レンズ核変性を三主徴とし、銅結合蛋白セルロプラスミンの合成障害が原因とされ、D-penicillamineによる銅のキレートが有効である。後者は下記の症候を呈し、瀉血またはdesferrioxamineによる鉄のキレートが有効である。続発性ヘモクロマトーシスもある。
臨床症状
1)ウィルソン病
a)神経症状:振戦、構音障害、筋緊張亢進など錐体外路症状が特徴であるが、動作緩慢、拙劣、学業低下などで発見される例もあり、精神症状(不安、抑うつ、性格変化、知能低下)をみることがある。
b)肝障害に伴う症状:黄疸、腹水、肝脾腫、クモ状血管腫、食道静脈瘤など慢性肝疾患を疑わせる症状または身体所見を呈す。無症状の症例や劇症肝炎様の経過で死亡する例もある。
c)Kayser-Fleischer角膜輪:緑、青、灰褐色の幅1〜3mmの輪で、神経症状のある例では必発。
d)その他の症状:病的骨折、関節症状など。
2)ヘモクロマトーシス
a)皮膚色素沈着:青銅色の皮膚色素沈着を80%の例にみる。口腔内色素沈着を伴う例もある。
b)肝障害に伴う症状:慢性肝疾患を疑わせる症状(上記)。女性様乳房など女性化症状は少ない。
c)糖尿病:60〜80%の例に伴う。
d)性腺機能障害:約50%に合併。性欲低下、無月経、睾丸萎縮、体毛脱落など。
e)心症状:15%に合併。不整脈、狭心症、心不全。
f)その他の症状:関節障害を25〜50%に合併。下垂体、副腎、甲状腺の機能低下を伴うことがある。
一般検査所見(表1)
表1 一般検査所見
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血液生化学 |1)GOT、GPT、膠質反応、ICGなどの変化を伴う場合がある。
|2)GTTで糖尿病型(ヘモクロマトーシス)
検尿 |1)尿糖陽性(ヘモクロマトーシス)
|2)アミノ酸尿、蛋白尿(ウィルソン病)
内視鏡 |1)食道静脈瘤
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特殊検査所見(表2)
表2 特殊検査所見
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ウィルソン |1)血清セルロプラスミン:低下。0〜20mg/dl
病 |2)血清銅値:低下〜正常。〜130μg/dl
|3)尿中銅排泄の増加。100μg/日以上。
|4)肝生検組織銅染色陽性。または銅含有量250μg/g dry liver以上。
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ヘモクロマ |1)血清鉄上昇:200μg/dl以上。
トーシス |2)不飽和鉄結合能著明低下。
|3)血清フェリチン増加。正常の10倍程度。
|4)desferrioxamine 500mg筋注で尿中鉄排泄、9mg/日以上に増加。
|5)腹部CTで肝吸収(CT値)の増加。
|6)肝生検組織像で鉄沈着高度。
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診断
1)ウィルソン病:三主徴がそろう例は少ない。小児〜若年者の慢性肝疾患や、原因不明の神経症状を呈する例では上記特殊検査を行って診断する。
2)ヘモクロマトーシス:皮膚色素沈着、尿糖陽性、肝障害から本症を疑い、上記特殊検査にて診断する。
管理上必要な検査(表3
ウィルソン病では、肝障害と神経症状の進展に留意し、溶血発作や鉄欠乏性貧血の発生を監視する。ヘモクロマトーシスでは、糖尿病の管理、肝癌の発生に留意する。
表3 管理上必要な検査
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ウィルソン |1)肝機能検査、2)血算、血清鉄、3)血清銅、尿中銅排泄(3か
病 |月毎)。4)神経学的所見および眼科検査、5)上部消化管内視鏡,
|(6)腹部CTまたは超音波、(7)ICG R15(1年毎)
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ヘモクロマ |1)尿糖、空腹時血糖、2)AFP(毎月)、3)血清鉄、不飽和鉄結
トーシス |合能、血清フェリチン、4)腹部超音波(3か月毎)、5)腹部CT,
|6)GTT、7)上部消化管内視鏡(1年毎)
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