概論
膀胱の炎症を主体とする疾患である。普通は急性の細菌感染によるものをさすが、放射線膀胱炎や間質性膀胱炎といった病態もある。後者はSLEなどとの合併もしられており、自己免疫疾患が考えられる。細菌感染は尿道の短い女性に多く、そのほとんどは尿道よりの逆行性感染である。外尿道口狭窄や尿道カルンクラが原因のこともある。男性の場合は前立腺肥大、前立腺炎、尿道狭窄、神経因性膀胱など残尿を生じる基礎疾患に合併して起きる場合が大部分である。薬剤によるものとしては cyclophosphamide 使用後の出血性膀胱炎、トラニラスト(リザベン)による間質性膀胱炎がよく知られている。子供の出血性膀胱炎は adenovirus11や 21 の感染によることもある。
臨床症状
2〜3日の経過で発症する頻尿、排尿困難、排尿終末時痛、残尿感、血尿を主徴とする。発熱は一般にないが、急性腎盂腎炎、副睾丸炎、前立腺炎を合併すると38°c以上の高熱を生じる。恥骨上の不快感、鈍痛を訴えることが多いが、その他理学的所見に乏しい。間質性膀胱炎では尿所見に乏しく、膀胱充満時の恥骨上痛がある。
一般検査所見(表1)
@尿検査:尿混濁あり。細菌尿、膿尿は膀胱炎の所見としてよく知られている顕微鏡的または肉眼的血尿もあってよい。膀胱粘膜よりはげ落ちた上皮細胞もみられる。間質性膀胱炎では尿所見が少ない。
A尿培養:一般に尿培養にて10^5/ml個以上の細菌が検出されれば細菌尿とされる。しかし外陰部での尿中への細菌の混入を防ぐために、女性においては台上での外陰部毒後の中間尿採取、カテーテルによる膀胱尿採取などを施行しなければならない。男性では中間尿採取で十分である。尿培養と同時に抗生物質の感受性検査も施行しておく。
B残尿測定:多量の残尿の存在は下部尿路閉塞性疾患、神経因性膀胱を疑わせる。
特殊検査所見(表1)
表1 膀胱炎の検査所見
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尿所見 |膿尿、細菌尿、血尿、扁平上皮
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尿培養 |10 5個/ml以上の細菌尿
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残尿測定 |残尿の存在
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@膀胱鏡:炎症の急性期には普通施行しない。膀胱粘膜の一部から全部に発赤腫脹、静脈の怒張、出血斑がみられる。肉柱形成(trabeculation)があれば下部尿路通過障害を考える。出血性膀胱炎では特に発赤が強く、間質性膀胱炎では膀胱容量の減少、粘膜の放射状の亀裂、粘膜下出血斑がみられる。膀胱腫瘍や膀胱結石、膀胱結核がみつかることもある。
A尿細胞診:膀胱鏡と同様に膀胱炎症状を呈する患者の中から尿細胞診を施行することにより膀胱腫瘍、特に carcinoma in situ を選び出すことができる。
B尿抗酸菌培養:膀胱炎症状、膿尿があるが一般細菌が検出されない場合(aseptic pyuria)、抗酸菌が検出されることある(尿路結核)。
診断
@臨床症状、尿所見より診断は容易である。
A治療に抵抗する場合は、前述したような基礎に存在するかもしれないさまざまな疾患を念頭に置いて鑑別する必要がある。
管理上必要な検査(表2)
表2 膀胱炎の管理上必要な検査
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3〜4日おき | 尿検
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初回、再燃時 | 尿培養の再検
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難治性のとき | 膀胱鏡、尿細胞診、抗酸菌培養、IVP、RUG、超音波検査
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急性膀胱炎の診断がついたら適切な抗生物質の投与を開始し、3、4日おきに尿検を行い、経過を追って行く。もし症状、尿所見に改善がみられないようであれば、尿培養の結果をみて抗生物質の変更を行う。投薬を1、2週間行い、膿尿、細菌尿がなくなれば投薬を中止する。中止後さらに1、2週尿検を続け、再燃のないことを確認する。抗生物質が無効、ないし何回も再燃する場合は基礎疾患の存在を考え、尿路の精査を進める。
メディカルノート
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喘息などアレルギー疾患に使用されるトラニラストによる間質性膀胱炎はときどき学会報告されている。薬剤の中止にて改善するので薬の服用についても詳細に聞く必要がある。
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