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脊髄疾患

 佐藤 茂

概論

 脊髄疾患には数多くの疾患単位が含まれる。外傷、脊椎疾患、腫瘍、炎症、血管障害、脱髄疾患、変性疾患など多くの病因があげられるが、脊髄の外部よりの圧迫の有無により、圧迫性疾患と非圧迫性疾患とに分けられる。また、症状発現様式によって、それぞれ急速性・緩徐性の二つに大きく分けることができるが、緩徐に発症してきたものが、ある時点をさかいに急速に症状の進行をみることがあり、注意を要する。急速に症状の悪化した例ほど、機能的予後が悪く、初期治療の遅速が予後を大きく左右するため、迅速かつ適切な診断・治療が望まれる。特に保存的治療を行うか、緊急に外科的治療に踏み切るかは、早急に決定する必要がある。
 次に主要脊髄疾患を、前述の圧迫性疾患・非圧迫性疾患、さらに急速性・緩徐性に分けて示す。

1)圧迫性脊髄疾患
 @ 急速性: 外傷、硬膜外血腫、硬膜外膿瘍、硬膜外腫瘍 (主に転移性腫瘍)、椎間板ヘルニア。
 A 緩徐性: 変形性脊椎症、後縦靭帯骨化症OPLL、黄色靭帯骨化症OYL、硬膜内髄外腫瘍 (主に良性腫瘍)。
2)非圧迫性脊髄疾患
 @ 急速性: 多発性硬化症、急性横断性脊髄炎 (急性散在性脳脊髄炎)、前脊髄動脈血栓症、脊髄出血、脊髄動静脈奇形。
 A 緩徐性: 脊髄空洞症、髄内腫瘍、脊髄動静脈奇形、亜急性連合性脊髄症、脊髄勞、SMON、その他の脊髄変性疾患。

臨床症状

 脊髄は、解剖学的に二つの構造単位、すなわち白質と灰白質からなり、脊髄を侵す疾患の多くは両者の障害を発生する。また、神経根の障害を合併すると、前根であればその支配領域の運動が、後根であれば感覚の障害が起こる。したがって、脊髄疾患の臨床症状は、レベルのある運動障害・レベルのある感覚障害・膀胱直腸障害の三つを主徴とする。

 @運動障害 : 一般に対麻痺あるいは四肢麻痺として現れるが、脊髄半側の障害 (BrownーSequard 症候群)では、障害側の単麻痺あるいは上下肢麻痺を呈する。もちろん、両側性半側優位の障害では、障害側に強い左右差をもった対麻痺あるいは四肢麻痺となる。脊髄の病変レベルでは、灰白質あるいは神経根の障害として弛緩性麻痺を呈し、腱反射は減弱ないし消失し、時間が経過したものは明らかな筋萎縮を示す。病変レベル以下では、核上性麻痺として痙性麻痺を呈し、腱反射は亢進し、病的反射が出現する。脊髄障害が緩徐に進行した場合は、痙性麻痺としての筋力低下は明らかでなく、単に腱反射の亢進あるいは病的反射のみがみられ、痙直spasticityによる症状を訴えることが多い。この場合、病変がいかに巨大化していても、なお歩行が可能ということも少なくない。また、急速に脊髄障害が発生した場合は、核上性麻痺であるにもかかわらず、いわゆる脊髄ショックspinal shock の状態となり、病変レベル以下の筋はすべて弛緩性麻痺を呈し、腱反射は消失し、病的反射は出現しない。この脊髄ショックの状態は、発症後、通常24時間から3か月続き、次第に典型的な痙性麻痺へと移行していく。
 A感覚障害 : 脊髄疾患では、後索(障害側の深部覚: 振動覚と位置覚の障害・電撃様自発痛・知覚過敏)、脊髄視床路(反対側の温痛覚の障害・自発痛・知覚過敏、感覚障害は病変レベルより1〜2髄節下方に生じる)、後角(障害側の全感覚の障害)、あるいは後根(刺激性疼痛・知覚過敏、1本に限局した障害では通常知覚低下はないか軽微)の障害によって、皮膚節に一致した境界をもつ感覚障害として現れる。後索または脊髄視床路のいずれか一方だけの障害では、触覚は低下しない。病変レベル以下では、障害側で表在反射は低下または消失する。感覚異常は脊髄疾患の初発症状として起こることが多い。特に急速に発症する圧迫性疾患では、圧迫を受けた根の支配領域に一致した疼痛で始まり、急速に脊髄の圧迫症状が進行することが多い。高位診断を下す際は、1〜2脊髄節の灰白質あるいは神経根支配下の核下性の運動障害または感覚障害(特に自発痛や知覚過敏)が、最も信頼度の高い症状である。これに対し、脊髄伝導路は層状構造をもつため、それによる症状は、必ずしも障害脊髄節の高さを示すとは限らない。頚髄障害で、胸腰髄レベルの皮膚節に境界をもった表在感覚の障害を認めることは、しばしば遭遇することである。また、脊髄内病変の局在によっては解離性感覚障害を示すことがある。たとえば、脊髄空洞症や前脊髄動脈血栓症では、温痛覚障害が強く、触覚ないし深部覚障害は軽微あるいはみられない。脊髄勞や亜急性連合性脊髄症では深部覚障害が著明である。
 B膀胱直腸障害:脊髄の病変部位、程度、および進行の速さにより症状は異なる。仙随より上位の脊髄の急性横断性障害では、急性期には、障害部位以下のすべての反射が消失し(脊髄ショック)、排尿反射の消失と随意排尿の障害により、排尿困難ないし尿閉となる。この時期には、膀胱容量はときに1000ml以上にも達し、膨満した膀胱から絶えず尿がもれる横溢性尿失禁overflow incontinen‐ceを呈する。その後、排尿反射と随意排尿の回復により、次第に反射性膀胱の特徴を呈するようになる。すなわち、排尿反射の亢進により頻尿および尿意切迫urgencyを示し、また、随意排尿もある程度障害され、排尿開始まで時間がかかり、残尿を認める。反射性膀胱では、膀胱容量は正常より小さい。脊髄障害が緩徐に進行する場合は、当初より反射性膀胱の特徴を呈する。仙随障害では、随意排尿・反射性排尿のいずれも障害され、尿閉あるいは排尿困難で大量の残尿を認め、横溢性尿失禁を示す。この場合、膀胱知覚は保たれる。
 直腸機能については、仙髄より上位の障害では、反射亢進により内括約筋は痙性となり、直腸知覚と随意排便が障害され便秘となる。仙髄以下の障害では、括約筋が弛緩し便失禁となる。
 Cその他の症状:感染性疾患では発熱を伴う。急性横断性脊髄炎は、ときに上気道感染症下痢などのウイルス感染あるいはワクチン接種が先行し、発症時に、頭痛嘔吐などの髄膜刺激症状、意識障害痙攣・言語障害などの脳炎症状、あるいは小脳症状を伴うことがある。多発性硬化症は、Devic型のように視神経炎を併発したり、他の種々の神経症状を伴って発症したりすることもある。転移性腫瘍は、坦癌患者だけでなく、悪性腫瘍の診断が未だなされていない場合にも発生し得るので注意を要する。

一般検査所見

 @血液検査所見:感染性疾患では、血沈値亢進・CRP陽性・白血球増加等を認めるが、他の脊髄疾患では通常、異常を認めない。
 A脊椎X線撮影:圧迫性脊髄疾患で種々の異常所見を認めることがあるが、必発ではない(転移性腫瘍・硬膜外膿瘍での椎体・椎弓の破壊、良性腫瘍での椎体・椎弓・椎間孔の変形、OPLL・OYLでの靭帯骨化像、椎間板ヘルニアでの椎間板腔の狭小化、変形性脊椎症での骨棘形成、外傷による骨折・脱臼など)。非圧迫性脊髄疾患では通常異常を認めない。脊髄空洞症では、合併症として、頚肋骨・二分脊椎・頭蓋底陥入症などを高頻度に認める。
 B髄液所見:圧迫性脊髄疾患では、脊髄くも膜下腔の閉塞(脊髄ブロック)をきたしている場合、初圧は正常または低値で、Queckenstedtテストが陽性となるB細胞数は通常増加しないが、蛋白量は上昇し、ときにFroin徴候・キサントクロミーを呈することがある。非圧迫性脊髄疾患では、脊髄の腫脹によりブロックを発生し得る(蛋白量増加、Queckenstedtテスト陽性)髄内腫瘍・脊髄空洞症以外は、初圧・Queckenstedtテストは通常正常である。多発性硬化症・急性横断性脊髄炎では、細胞数・蛋白量は増加するが、糖は通常正常である。脊髄内出血では、血性髄液をみる。前脊髄動脈血栓症・脊髄変性疾患では、通常、髄液所見は正常である。
 Queckenstedtテスト:正常では、一側の頚静脈を10秒間圧迫すると髄液圧は約50mmH2O圧上昇し、両側同時に圧迫すると約100mmH2O圧上昇する。いずれも約10秒間で前値まで下降する。脊髄くも膜下腔の完全閉塞では圧は全く上昇せず、不完全閉塞では圧の上昇・下降の速度と程度が鈍くなる。

  表1 脊髄疾患検査所見
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血液
 @感染性疾患で血沈値亢進、CRP陽性、白血球増加
脊椎X線撮影
 @椎体・椎弓の破壊・変形、靭帯骨化、椎間板腔狭小、骨棘、骨折・脱臼
 A頚肋骨、二分脊椎、頭蓋底陥入症
髄液検査
 @Queckenstedtテスト陽性と髄液蛋白量増加
 A髄液蛋白量増加、細胞数増多
 BIgG index・synthesis高値
 Coligoclonal band陽性
脊椎CTスキャン
 @脊椎の骨性異常所見(X線撮影上の上記所見)
 A椎間板突出像(Hounsfield値50〜100の軟部組織陰影)
脊髄造影
 @脊髄くも膜下腔の閉塞(脊髄ブロック)
 A脊髄陰影の拡大・偏位・圧迫
 Bミミズ状の異常血管陰影
CT脊髄造影
 @脊髄くも膜下腔の圧迫・偏位、脊髄陰影の拡大・圧迫
 A脊髄空洞内造影剤貯留像
脊髄血管撮影
 @腫瘍血管陰影
 A動静脈奇形(feeder, nidus, drainer)
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特殊検査所見

 @脊椎CTスキャン:圧迫性脊髄疾患で脊椎X線撮影上認められた骨性異常所見、ときには軟部組織の変化が、水平断像としてさらに詳細に確認できる。出血性病変は高吸収域として据えられることがある。椎間板突出は、Hounsfield値50〜100の軟部組織陰影として検出される。現在一般に使用されているX線CTでは、脊髄くも膜下腔および脊髄自体を描出することはできず、X線CTにてこれらを描出するためには、メトリザマイドなどの水溶性造影剤を脊髄くも膜下腔に注入して強調画像を得る必要がある。
 A脊髄造影myelography:一般に水溶性造影剤が使用される。脊髄くも膜下腔の閉塞(脊髄ブロック)の有無・程度を知り、さらに硬膜外、硬膜内、あるいは髄内病変かの鑑別が可能となる。ここで得られる所見は、CTとの併用によりさらに明らかとなる。完全閉塞の場合は、閉塞部位の上縁および下縁を描出するために、腰椎穿刺とC1-C2側方穿刺または後頭下穿刺の併用が必要である。非圧迫性脊髄疾患では、脊髄空洞症や髄内腫瘍のような脊髄陰影の拡大をきたす疾患以外は、一般に脊髄造影で異常所見を得ることはない。脊髄出血や脊髄梗塞・虚血の原因の一つである脊髄動静脈奇形は、脊髄造影でミミズ状の異常血管陰影、いわゆる“worm like filling defect”として認められる。
 BCT脊髄造影 CT myelography:通常の脊髄造影に引き続いて、あるいは単独に行われる。水溶性造影剤を使用する場合、一般の脊髄造影で用いられる濃度より低い濃度(通常170mgI/ml)の方が、鮮明な画像が得られる。したがって、脊髄造影に引き続いて行う場合は、造影剤がある程度希釈・吸収された後の、3〜4時間後にCTスキャンを行った方がよい。通常の脊髄造影では描出が困難な、頭蓋・頚椎移行部の検査に特に有用である。脊髄くも膜下腔の圧迫・偏位、脊髄陰影の拡大・圧迫所見が、水平断像として得られる。また、脊髄空洞症では、特徴的な空洞内の造影剤貯留像を認めるが、この所見は、造影剤注入10時間前後で初めてみられることもある。
 C脊髄血管撮影:脊髄腫瘍では、ときに腫瘍血管陰影を認め、また、脊髄動静脈奇形では、feeder,nidus,drainerが明らかとなる。前脊髄動脈血栓症では、血管撮影上、動脈の閉塞を確認できることはむしろ少なく、前脊髄動脈の蛇行走行その他の動脈硬化所見が参考となる。
 DMR-CT:従来のX線CTにない、MR-CTの利点として、矢状断が容易に得られること、骨によるartifactがないこと、脊髄自体の病変を描出できることなどがあげられ、脊髄疾患の診断にきわめて有用である。髄内腫瘍、脊髄空洞症、多発性硬化症などの脊髄内病変の検出には特に有用である。
 E特殊な髄液検査:中枢神経系でのIgG産生の指標となるIgG index(正常値 0.44±0.11)、IgG synthesis(正常値 9.9±3.3mg/day、平均 3.3mg/day)は、髄液蛋白量としては必ずしも増加していない場合でも、亜急性・慢性炎症、多発性硬化症で高値を示すことが多い。また、oligoclonal bandは、他疾患でも検出され得るが、多発性硬化症での陽性率は80%を越え、診断的意義は大きい。

IgG index = ((IgG/Alb) csf) / ((IgG/Alb)serum )
IgG synthesis = 5*(IgG csf -IgG serum(0.43*(Alb csf/Alb serum) +0.00084)

診断

 @脊髄疾患は、感覚障害で発症することが多い。圧迫性、非圧迫性脊髄疾患ともに、後索、脊髄視床路、または神経根の刺激症状としての、疼痛、知覚過敏、あるいは“しびれ”が最も多くみられる初発症状である。初期には運動障害に気づくことは少ないが、ときに上肢の巧緻動作障害や歩行障害が主訴となることもある。
 A病歴上、悪性腫瘍の既往や上気道感染症下痢等のウイルス感染の先行などがないか否かを尋ねる。
 B脊髄疾患を疑う3徴候は、レベルのある運動障害、レベルのある感覚障害、および膀胱直腸障害(排尿困難、便秘など)である。問診、自覚症状、および神経学的所見からこれら三つを見逃さないように診察する。
 C神経学的検査にて病変部位の高さと局在を決定する。高位診断には、1〜2本の神経根支配下の核下性の運動障害(弛緩性痳痺、筋萎縮)または感覚障害(刺激性疼痛、知覚過敏、表在知覚の低下)が最も信頼度の高い症状である。また、温痛覚と触覚あるいは深部覚との解離性感覚障害に注意する。

 D脊椎X線撮影にて、神経学的に推定された病変部位近傍の脊椎病変の有無を検査する。圧迫性脊髄疾患を疑わせる所見(椎体・椎弓・椎間孔の破壊・変形、椎間板腔の狭小化、骨棘、靭帯骨化、骨折、脱臼)が得られた場合は、直ちに脳神経外科医へコンサルテーションする。
 E腰椎穿刺を行う。脊髄ブロックが疑われる場合は、脊髄造影時Queckenstedtテストと髄液検査を同時に行う。Queckenstedtテストが陽性なら、直ちに脊髄造影を行い脊髄ブロックのレベルを決定する。脊髄造影の際は、異常血管陰影の有無についても注目する。続いて、CTを行い、さらに詳細な脊髄病変の状況を明らかにする。脊髄空洞症では、造影剤注入後、10時間前後経過して初めて空洞内の造影剤貯留を認めることがある。脊髄ブロックが確認された場合は、直ちに緊急減圧術の適応について検討する必要がある。
 FQueckenstedtテストが陰性の場合は、髄液の細胞数、蛋白、糖を検査するB細胞数増多と蛋白増加があり(糖は正常)、前述したような先行症状がある場合は急性横断性脊髄炎と考えられる。多発性硬化症でも細胞数増多・蛋白増加を伴うことはあるが、他の神経症状の有無、oligoclonal band, IgG index・synthesisを参考にする。前脊髄動脈血栓症では、髄液所見は通常正常である。
 G鑑別診断は対麻痺の場合、他に両側前大脳動脈閉塞症、上矢状静脈洞血栓症、大脳鎌髄膜腫などと鑑別しなければならないが、これらは頭部CTスキャンで診断可能である。また、一見対麻痺のようにみえ、脊髄障害と誤られ得るものに筋疾患、多発性神経炎がある。前者は、筋力低下は両下肢近位筋優位で疼痛を伴うが、他覚的障害はない。後者は、筋力低下・感覚障害は末梢優位で脊髄節に一致しない。

管理上必要な検査

 疾患そのものに対する検査は、診断確定・治療開始後は、外科手術後の確認検査以外、管理上特に行うべきものはほとんどなく、臨床症状・神経学的所見の推移を重視する。転移性腫瘍の場合は悪性腫瘍に関する諸検査、感染性疾患での炎症所見に関する検査は随時行う。管理上は、むしろ二次的合併症に対する診察・検査が重要である。

  表2 脊髄疾患の管理上必要な検査
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脊髄ショック期に頻回に施行する検査
 @血液検査:血算、血清電解質、BUN、クレアチニン
 A呼吸機能:一回換気量、呼吸回数、動脈血ガス分析、喀痰培養、胸部X線像
 B排尿機能:膀胱内容量(排泄量と残尿量)、検尿、尿培養
 C褥瘡好発部位の視診
 D静脈血栓症の有無:下肢周径
 E体重、水分バランス
 F関節可動域
回復期・症状固定期に適時行う検査
 @上記@〜Fの諸検査
 AX線検査:脊椎手術部の安定性・仮骨の過剰形成、脊柱変形、四肢関筋の異所性化骨
 B排尿機能検査:尿道内圧曲線、膀胱内圧・尿流測定、排尿時膀胱尿道撮影、排泄性腎盂撮影、膀胱撮影
 C腎機能検査:血清クレアチニン、内因性クレアチニンクリアランス  
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メディカル・ノート
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HTLV-I associated myelopathy(略称HAM):成人T細胞白血球を起こすHTLV-I(human T-cell lymphotropic virus type-T)が関与した新しい脊髄疾患である。緩徐進行性で、かつ対称性の錘体路障害所見が前景に立ち、髄液および血清の抗HTLV-IT抗体が陽性を示す。レベルのある軽度の感覚障害を認めることが多く、しばしば膀胱直腸障害を伴う。多くは髄液の細胞増多 (通常軽度)を認め、IgG増加, oligoclonal bandが陽性となることもある。副腎皮質ホルモンによりしばしば症状の改善をみる。成人発症の弧発例が多いが、輸血後発症群、母子垂直感染と考えられる若年発症群も存在する。抗HTLV-IT抗体陽性者の頻度の高い地域ほど本症罹患率も高い。
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